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すべてフラットに【小説:ハーモニーの感想】

「最近のユートピアって刺激のない小説が多くない?」
「もっと絶望感に浸れる小説が読みたい!」
「賞をいくつも受賞された面白い小説ってないの?」

作者はこの世の中を去った後に評判が高まった小説「ハーモニー」を知っていますか?

近い未来であらゆる病気が駆逐され人の命が大事にされた世界で、「もしも全人類を混沌に陥れる事件が起きたら?」という作品です。

前に書いた伊藤計劃さんの「虐殺器官」の後の世界での物語です。

ストーリーは、ディストピアから一転して、ユートピアの物語となっています。

ぜべるん

虐殺器官と違って、極限まで人間を管理された世界。

そんな世界で起こる6千件の同時自殺。

背景にある犯人の意図とは?

本記事にはネタバレが含まれております!

主人公はそこまで絶望していない【小説、ハーモニー】

冒頭で「極限まで人間を管理された社会」と書きました。

・普段から他人を思いやる生活をしましょう。
・自殺しようとすれば、ほぼ死ねないどころか、失敗したことで何年もカウンセリングに漬け込まれて、他人を思いやる精神を植え付けられます。
・ジャングルジムは落下してもいいように子供を助ける作りになっています。
・有害な内容の書かれた電子書籍(本はなくなっている)は閲覧制限されています。

こんな世界で主人公の「トァン」は中学生の頃に出会った親友「ミァハ」「キアン」で自殺を企てて失敗してしまいます。

たっぷりのカウンセリングでうんざりした「トァン」は、大人になると敢えて危険な職業「螺旋監察官」になり、紛争地帯へ行って、禁止されている「酒」や「タバコ」を嗜みます。

禁止されていたモノに手を出して、嗜む様子は「意外に絶望してないんじゃない?」ってとこです。

どうして耐えられるのか、むしろ尊敬してしまう。

私自身、日本の教育の「答えを覚えさせて自らの意思決定をさせない」システムが大嫌いでした。

ぜべるん

同じ立場なら、私なら・・・って自殺しようとすると止められるのか。

怖すぎて、自分で生きる意味を見失いそう。

まさかのキーパーソン【小説、ハーモニー:感想】

主人公「トァン」は物語の終盤に差し掛かると実は「キーパーソン」であるとわかります。

人間を極限まで監視した社会で、自殺を誘導し、全人類を自殺させようとする犯人に対抗します。

この犯人、実は中学生の頃に自殺して死んだとされた「ミァハ」らしいとわかります。

螺旋監察官の立場も有効活用して、事件を一つずつ進めていきます。

親友であった「ミァハ」の出生にまつわる過去を調べて、1つの答えを導き出した「トァン」こそ、まさかのキーパーソンだったのです。

のちに登場する自身の父親が死んだ「ミァハ」を引き取ったとわかると、物語は急展開します。

ぜべるん

そう都合よく解決するかいな!

いくら冒頭から伏線はあっても、話がうますぎん?

ユートピアの行く末【小説、ハーモニーの感想】

小説のラストで、6千件の同時自殺を全人類に対して、誘発させると計画に対して、「極限まで人間を管理した社会」の切り札が使われないように「トァン」は活躍します。

切り札とは「ハーモニー(調和)」そのものだと明かされます。

しかし、トァンの目の前に現れたのはかつての親友、死んだはずの「ミァハ」が現れます。

世界に興味はなく、世界をハーモニーへ導くためだと語ります。

こうして思惑通りに、「ハーモニー」が発動し、あらゆる人間から意識が排斥され、人間はシステム、言葉と同じただの物質となってしまいます。

「考えること自体を捨てされることで人間は幸せになれる。」

ハーモニーのラストはそんなメッセージのある小説です。

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ぜべるん

名古屋の郊外で働く介護士4年目です。 将棋の藤井くんと同じ瀬戸市の育ち。 当ブログでは読んだ本の書評や感想を主に記事に書いています。 Apple信者でMacbookPro、iPad、iPhone、AppleWatcheSE揃えてます。 イラストは地道に勉強しています。 3度の飯よりブラックコーヒー好き☕️

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