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言葉の運命に抗え【小説:虐殺器官の感想】

「00年代のSFフィクション小説の金字塔といえば?」
「程よく絶望できるディストピア小説ってないかな?」
「何度も読み返したくなる衝撃的な展開の小説が読みたい!」

小説、虐殺器官の感想をお探しではありませんか。

この虐殺器官ですが、作者の伊藤計劃さんは全身性のガンに侵され逝去されています。

がんの治療が一度寛解した状態のときに書かれた本作は「作者の生に対する思い」が気になるポイントです。

すでに余命が長くないとわかりつつも書かれた本作で語られる「罪」の正体とは何でしょうか?

ぜべるん

愛情に近いようで、世界には絶望していないって感じ。

本記事にはネタバレが含まれています。

ご了承ください。

目の前の地獄から目をつぶれ【小説:虐殺器官】

小説の1章のある会話で「目を閉じればそれだけで消える」という言葉です。

「人は見たいものしか見ないようにできている」っていうよく言われるワードと組み合わせると効力が大きいなと感じました。

私たちの世代よりも若い世代、今を生きる10代にはどうでしょうか。

10代の子供たちはYoutubeや月額課金のアニメやドラマが見放題となり、スマートフォンでは「自分の好きなチャンネル」しか観ない世代が登場しました。

これによりネガティブな発信をするニュースなどには無関心であると言われてます。

「目の前の地獄は目を閉じればそれだけで消える」とは、まさに現代に生きる若者へのメッセージではないでしょうか。

恋に落ちる主人公【小説:虐殺器官】

主人公である「クラビス」は、いわゆる殺し屋です。

ターゲットの元恋人「ルツィア」に何もかも知って接近し、自分の抱えていた闇をブドヴァイゼルを飲みながら語り出します。

何もかも知ってしまった代償と言わんばかりに語り合ったクラビスは恋に落ちます。

そのせいで殺し屋業にも影響が出るどころから、ターゲットである「ジョン」に利用されしまいます。

「任務に私情を挟む殺し屋がおるんかいな!」

小説のラストに繋がる展開には必要ですけど、愛から生じる展開は違和感があります。

ぜべるん

まさかの恋落ちから展開していく。

自分の世界を守るため【小説:虐殺器官】

ラストで語られる「虐殺器官」の正体とは「特定の言語に伝搬させ虐殺を発生させる」人の中にある器官とされています。

言葉を巧みに使い行く先々の国で虐殺を引き起こす「ジョン」の動機がとても深いです。

「ジョン」は自分の妻子を内戦に巻き込まれて殺されてしまいます。

9.11のテロのように外に向けられる前に、内戦を誘発します。

虐殺を引き起こすことで、外へ悪意が向けられる前に「お互いで殺し合ってもらう」と語ります。

身勝手すぎる動機なのに、合理的に感じてしまうのはなぜでしょうか。

「虐殺器官」の小説の中にも「虐殺の文法」が入っているから、読んでいくうちに「洗脳されてしまったのか!?」と思うこと間違いなしです!

小説:虐殺器官はこちら。

(内容は改変されてる)コミック版もありますよ。

2017年の冬に公開された映画「虐殺器官」もおすすめです。

映画:虐殺器官のホームページはこちら。


\後の世界、ハーモニーの感想はこちら/

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ぜべるん

名古屋の郊外で働く介護士4年目です。 将棋の藤井くんと同じ瀬戸市の育ち。 当ブログでは読んだ本の書評や感想を主に記事に書いています。 Apple信者でMacbookPro、iPad、iPhone、AppleWatcheSE揃えてます。 イラストは地道に勉強しています。 3度の飯よりブラックコーヒー好き☕️

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